« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

2010年6月

「67億人の水」世界の水資源が目の前の食卓につながっている・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 使っているのに見えない水は? なぞなぞみたいだが、答えは「仮想水」。「バーチャルウオーター」とも呼ぶ。食料や工業製品を生み出す過程で使われた水のことだ

 穀物も牛や豚の飼料も、育てるには水の恵みが頼り。家畜の飲み水も洗浄水も要る。東大生産技術研究所教授の沖大幹さんの試算によると、例えば豚肉1キロを生産するのに6トンの水が必要という  

 環境省のホームページで「仮想水計算機」なるものを見つけた。食品一覧から選んで試みにご飯1杯、カボチャ1個に大豆1カップと入力してみる。はじき出された仮想水は何と合計1トン強。知らずに使った勘定の水だ

 食料自給率40%の日本ゆえ、1人当たりにして年間約500トンの仮想水を輸入していることになるという。世界の水資源が目の前の食卓につながっている。世界各地で起きている水不足や水紛争に思いを巡らすきっかけにしたい  

 「水の音を思い浮かべてみよう」。水ジャーナリストの橋本淳司さんが勧めている(『67億人の水』)。雨のザアザア、川のチョロチョロ、波のザブン…。「それらを水の循環を表した図の中に書き込んでみよう」

 水問題を考える時、水を循環の中でとらえる視点が大事だと言う。梅雨さなか。雨降りは憂うつだが、地球の水を思えば心持ちも違ってくる。

 河北春秋 河北新報 2010年6月25日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

有権者の眼力が未来を決める 選挙の前は聞き心地の良い言葉が飛び交う・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「鉄血宰相」と呼ばれた19世紀ドイツの政治家ビスマルクに、こんな言葉がある。「人が決まってうそをつくのは狩りの後と戦争の最中、そして選挙の前だ」

 選挙の前は確かに聞き心地の良い言葉が飛び交う。昨年の衆院選で圧勝し政権を手にした民主党。衆院選マニフェストの達成度は22%だと先月、自己採点した。野党は公約違反と批判する  

 参院選で異例の展開となっているのは民主、自民の両党がそろってマニフェストに消費税の増税方針を掲げたことだ。世論調査によると増税への理解は高まってきたものの、耳障りの人もいるだろう

 過去に消費税の導入や税率引き上げを行った政権は選挙で痛い目に遭ってきた。竹下内閣が税率3%の消費税を導入した1989年、橋本内閣が5%に引き上げた後の98年の両参院選で自民党は惨敗した  

 菅直人首相は消費増税を含む税制改革の超党派協議を呼び掛け、税率は自民党が提案する10%を参考にすると明言。引き上げ時期は早ければ2、3年後とした。あえて争点に加えた気骨は評価したい

 参院選がきょう公示される。民主党政権に対する初の審判で、野党に転落した自民党は巻き返しを図る。相次ぎ誕生した新党を含め他党も浮沈を懸ける。公約や政治姿勢にうそはないか。有権者の眼力が未来を決める。

 河北春秋 河北新報 2010年6月24日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

危機感が足りない大相撲の賭博問題が深刻さを増す・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 マージャンや花札を愛した作家の故吉行淳之介さんは、ギャンブルについて随想にこう書いている。「勝ったときのことはよく覚えていて、負けたことは記憶から追い出したがる」

 もうけた時の快感が強烈で、負けが込んでいることなど忘れてのめり込んでしまうのが賭け事の魔力だ。スリルを味わうのが好きな人でも、負けを引きずっていたらやっていられないだろう  

 大相撲の賭博問題が深刻さを増す。野球賭博にかかわっていた29人に、大関琴光喜や元大関雅山ら人気力士や複数の親方が含まれることが相次ぎ判明した。他の賭博も含め関与したのは延べ65人。魔力は角界を席巻していた

 最大の問題は暴力団とのかかわりが指摘されることだ。資金源になった可能性がある。日本相撲協会は事の重大性をどこまで認識しているのか。危機感が足りないようにしか見えない  

 きのうの臨時理事会は外部有識者による特別調査委員会を設置した。調査委は今後29人を独自に調べ、理事会はそれに基づき来月4日に処分や名古屋場所を開催するかどうかを最終的に判断するという

 一方で理事会は、名古屋場所を開催する方向で準備を進めることを決めた。武蔵川理事長の責任を問う声もなかったらしい。不利なことを早くも記憶から追い出したがっているようだ。

 河北春秋 河北新報 2010年6月22日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

日本初の民間パイロット、空を飛びたいと願い、夢を実現させ・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 五所川原市の津軽鉄道金木駅から作家太宰治の生家「斜陽館」に続く道沿いに、高さ3メートルほどの碑が建っている。細長い円柱には「白戸栄之助生誕の地」と刻まれている

 白戸栄之助(1886~1938年)は24歳で上京し、2年後に川崎競馬場で開催された有料飛行会で複葉機を操り、日本初の民間パイロットとなった人物。その後も飛行練習場を開設するなど、航空界に名を残した  

 中央での名声に比べ、故郷ではあまり知られていなかった。先人の業績を後世に残そうと地元の有志でつくる「白戸栄之助航空研究会」(久保泰太郎会長)が結成されたのは6年前だ

 手始めに、生家前に顕彰碑を建てたほか、小学生らを対象にした紙飛行機大会の開催などの活動を続けている。いつの日か、白戸が乗った複葉機の復元計画も描く  

 白戸が上京したころは、操縦法が口伝えでしか教えてもらえなかった時代。努力で技術を身に付けたことは想像に難くない。「空を飛びたいと願い、夢を実現させた白戸の姿勢を子どもたちに伝えたい」と久保さんは言う

 会結成時に建てた木製の顕彰碑が朽ちてきたため、先月下旬、コンクリート製に変えた。白戸が希望に燃えて故郷を後にして100年になる。先人の気概を次の100年へ―。頑丈になった碑に会の思いが宿る。

 河北春秋 河北新報 2010年6月21日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ヒーロー気分で切り込んだ行政の無駄は思った以上に根が深く・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 ある日の保育所。3歳児たちが積み木で遊んでいる。保育士さんが交ざろうとしたが、自分たちだけで遊びたいらしい

 闖入(ちんにゅう)者に対する子どもたちの反応はさまざま。堂々と戦おうとするヒーロー派。絵に描いたケーキをお土産に退散してもらおうとするプレゼント派  

 最近、いささかクールな現代風の反応も増えているらしい。「せんせ、わたしたちの遊び、じゃましないでくれませんか」。オトナな3歳が、ちょっと高ぶりかけた保育士さんの童心を現実に引き戻す

 民主党の衆院選政権公約の見直しが進む。ヒーロー気分で切り込んだ行政の無駄は思った以上に根が深く、勇んだ普天間移設は迷走の末、旧来通りの結論に逆戻りした。財源の解決は困難で、絵に描いた子ども手当のプレゼントも、だいぶ小さくなりそうだ  

 保育所の光景が少し重なってくる。まさか「わたしたちの遊び、じゃましないで」とは言わないだろうが、公約修正の説明は、どうも声が小さい。政治が変わるという期待が、分かっていたはずの現実の厳しさを理由になし崩しにされるのではないか

 不安に応えるには、もっと丁寧な説明が必要だ。無邪気に高揚したわけではないが、昨夏、政権交代と政治の変化に抱いた待望感が、現実の壁を理由に一方的に打ち切られてはたまらない。

 河北春秋 河北新報 2010年6月20日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

あきらめさせる現実、無理しない、まったりした生き方・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 いまや何事も「活動」のご時世なのか。「就活(就職活動)」になぞらえて「○活」の言葉が続々現れる。「婚活」に「恋活」、「離活」。結婚、恋愛のみならず離婚にまで「活動」が付く

 最近知ったのは「保活」。子どもを保育所に入れるための活動だそうな。確かに待機児童の多い地域では切実だ。それにしても、こうも活動、活動と駆り立てられる世の空気、息苦しくなる人も多いだろう  

 「無理しない、まったりした生き方」を望む学生が増えている、と宮城学院女子大(仙台市)教授の浅野富美枝さんから聞いた。毎春、新入生を対象に行う調査では近ごろ専業主婦志向が強くなったという

 懸命に就活をしても報われない。非正規雇用が増え、働く環境は厳しくなる一方だ。「望む職に就き、仕事と家庭を両立させる人生を願っても、それをあきらめさせる現実が若い人たちを追い込んでいる」  

 先ごろ発表された国の調査によれば、既婚女性でも20~40代で専業主婦を志向する人が増加した。だが、一方で「主婦活」なる言葉もある。不況の中、家計を支えるため就職活動をする専業主婦が増えているのが現実だ

 若い世代がそれぞれに望むスタイルを選び取り、人生を切り開いていける世の中であってほしい。「強い社会保障」の約束はお忘れなきよう。

 河北春秋 河北新報 2010年6月19日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

梅雨前線が本州付近に停滞し、梅雨明けが8月上旬にずれ込む・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 <梅雨の地に据らぬ足やここは日本>。俳人の故佐藤鬼房さんにこんな句がある。足をとられるほどぬかるむ地面。一筋縄ではいかない季節と向かい合い、強く日本を意識する

 東北南部に続き、北部も梅雨入りした。全国的に遅かったのは、日本列島上空で偏西風が南に蛇行して北から冷たい空気が流れ込み、梅雨前線が北上できなかったからだ  

 気になる予想がある。今年はインド洋の海水温が高い。それに伴い、フィリピン付近で下降気流が発生し、大気の対流が不活発になる。太平洋高気圧が弱まるため梅雨前線が本州付近に停滞し、梅雨明けが遅れるというのだ

 気象情報会社「ライフビジネスウェザー」(東京)は、東北では梅雨明けが8月上旬にずれ込むか、特定できないと予測した。来月以降やませが吹き込み、太平洋側を中心に冷害が心配されるという  

 気象条件が今年そっくりの年があった。インド洋の海水温がやはり高かった1998年。北日本で低温が続き、8月になっても前線が停滞した。東北では記録的な豪雨被害が発生し、梅雨明けがないまま秋になった

 鬼房さんの作品に<やませ来るいたちのやうにしなやかに>もある。東北の宿命とはいえ、イタチのように牙をむくやませには手を焼く。長梅雨とのダブルパンチは勘弁してほしい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月18日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

当時のまま変わらずに、知恵も出さないから、駄目になるばかり・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 秋田県の公式行事などで、よく歌われる県民歌。『秀麗無比なる鳥海山よ』で始まる歌詞は、全編通していわば秋田賛歌。古里を離れた出身者は、これを聞き思わず涙ぐむ

 それなのに、「県民歌が悪いんですよ」と憎まれ口をたたくのは、秋田市在住の詩人でエッセイストのあゆかわのぼるさん(71)。「2番に出てくる『千古の美林』『地下なる鉱脈 無限の宝庫』『黄金と実りて 豊けき秋田』がいけない」  

 石油、鉱物、コメ、杉、魚(ハタハタ)。秋田は恵まれた天然資源に寄りかかり、切り売りしながら、豊かな暮らしを続けてきた。だが、資源は尽きる寸前なのに、付加価値を高めもせず、外へ売り込もうともしない

 そんな小言を、民間信用調査機関の情報誌(秋田県版)に約16年ほぼ毎週書き連ねてきた。連載は700回を超え、文章をまとめた本は、出版したばかりの『おれはやらない お前もやるな』(イズミヤ出版)で6冊になる  

 県民歌はことし制定80周年。その当時のまま変わらずに、知恵も出さないから秋田は駄目になるばかりと、しかり続ける。大好きな秋田のためなら鬼にもなる

 「おかげさまで小言の材料は事欠きません。ここまできたら、ぜひ1000回まで書きたい」。矛先となる県や市町村、大学、経済界は耳が痛いだろう。

 河北春秋 河北新報 2010年6月17日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

W杯1次リーグ突破へ、国民の期待もがぜん高まってきた・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 これまでの試合とは明らかに違った。ボールが不規則に変化する。普通にけっているのに飛距離が出過ぎるように見えた。疲労も激しかったようだ

 試合会場のあるブルームフォンテーンは標高約1400メートルの高地。空気が平地と比べると薄いため、ボールにも体にも思わぬ影響が出る。そんな慣れない環境の中で、選手たちは大健闘した  

 南アフリカで開かれているサッカーワールドカップ(W杯)の初戦で、日本代表はカメルーンに1―0で勝った。「初戦がすべて」の覚悟で臨んだ日本。1次リーグ突破へ、これ以上ないスタートを切った

 標高1800メートルのスイスでの合宿や低酸素のボンベを使って体を慣らす訓練など、この日を照準に心身共にピークへ導く計画や新布陣が奏功したか。強力なカメルーンの攻撃を組織力で封じ、少ない勝機をものにした  

 「勝ちたいという気持ちを持って、一丸となって戦ってくれた」と選手をたたえた岡田武史監督。同時に「まだ何もわれわれは手にしていない」と、19日のオランダ戦に向けて気持ちを引き締めた

 直前の強化試合で結果が出せず、強い批判も浴びたが、自国開催以外のW杯での初勝利、日本人監督としての初勝利という歴史を刻んだ。この勢いを次につなげてほしい。国民の期待もがぜん高まってきた。

 河北春秋 河北新報 2010年6月16日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

豊かな時代になっても、飽くなき探究心で真理に迫ることの尊さ・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 55年前、日本で初めてロケット発射実験を行った故糸川英夫博士は「モノとカネだけで人の心は埋められない。心の空白を満たすのは科学と芸術である」と随筆に書いた(『モーツァルトと量子力学』)

 博士の名を取った小惑星「イトカワ」を探査した「はやぶさ」が、地球に帰還した。往復60億キロという途方もない距離の航行に成功。きのう、オーストラリアの砂漠で回収されたカプセルには、地表の砂が入っているのではと期待されている  

 帰路の途中、燃料漏れによって姿勢の制御ができなくなり、7週間さまよった。設計寿命を超えたエンジンが次々と停止。「動いていること自体が奇跡」と言われた

 ぼろぼろになりながらも地球に帰ろうとする姿は、命を宿しているようだと天文愛好家の枠を超えて共感を呼んだ。全国の科学館などで記録映画が上映され、多くの市民が足を運んだ  

 7年前、遠大な使命を受けて宇宙の海にこぎ出し、最後はカプセルの落下を見届けて、自らは大気圏で燃え尽きた。日本人が持つ無常観に訴えるものがある

 プロジェクトの責任者は「この成果は、諸先輩が築き上げた科学技術の上に成り立っている」と総括した。豊かな時代になっても、飽くなき探究心で真理に迫ることの尊さ。博士の一念は見事、今に受け継がれた。

 河北春秋 河北新報 2010年6月15日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「世紀の誤審」当事者2人の素晴らしい人間性とともに、人々の記憶に残る・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「世紀の誤審」の後味の悪さが一変した。米大リーグ、タイガースのアルマンド・ガララーガ投手が、あと1人で完全試合(パーフェクトゲーム)を逃した試合のことだ

 2日に地元デトロイトで行われたインディアンス戦の9回表2アウト、27人目の打者を一塁ゴロに打ち取ったガララーガ投手はベースカバーに入った。タイミングはアウトだったが、ジム・ジョイス塁審の判定はセーフ。大記録は幻と消えた  

 大失態を演じたジョイス氏だったが、試合後潔く誤審を認め、ガララーガ投手に謝罪。同投手は「パーフェクトな人間などいない」と完全試合にかけたコメントでさわやかに受け入れた

 さらに翌日、本来は監督同士が行う試合前のメンバー交換にガララーガ投手が登場、主審を務めるジョイス氏と握手を交わし、メンバー表を手渡した。ジョイス氏は涙をぬぐい、球場のファンは2人に温かい拍手を送った  

 過ちは誰にでもある。それを認めて謝罪し、相手も許す。フェアな態度はスポーツマンシップの原点だ。今回の誤審騒動は当事者2人の素晴らしい人間性とともに、そのことをあらためて教えてくれた

 完全試合は1900年以降、18人しか達成していない。ガララーガ投手は歴史に名を残せなかったが、ジョイス氏とともに人々の記憶に残るだろう。

 河北春秋 河北新報 2010年6月14日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

天災が誰しも避けられないものなら、せめて共助の力を・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「体調が悪いが、家族の世話に追われて我慢しがち」「私が崩れると家族みんなが駄目になると思って頑張っているが、精神的につらい。気持ちを受け止めてくれるところもない」

 あすで発生から2年がたつ岩手・宮城内陸地震。被災した女性たちの生々しい声の記録がある。NPO法人「イコールネット仙台」が昨年まとめた調査報告集だ。女性が防災や災害復興対策に何を求めるか。1000人規模のアンケートをした  

 聞き取り調査で栗原市の仮設住宅を訪ねたのは地震の2カ月後だった。避難所や仮設住宅の暮らしで体を壊すお年寄り、不安定になる子ども。「介護や育児を担う女性たちの困難は痛切」。代表の宗片恵美子さんが振り返る

 生活者としての女性の視点が防災に生かされているか。調査で集めた声を基に宗片さんたちは問い掛ける。地域の集いに招かれて話すと、男性の意識も変わっていく手応えがあるという  

 例えば防災訓練にしても、高齢者や障ガイ者、乳幼児がいる母親が参加できる工夫が要るのではないか。避難所をみんなでデザインしてみる試みはどうだろう。宗片さんは提案する

 地域の個性に合わせて、自由な発想で。防災計画づくりには女性の目が欠かせない。天災が誰しも避けられないものなら、せめて共助の力を蓄えなければ。

 河北春秋 河北新報 2010年6月13日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

維新の原動力、身分にこだわらない志願兵で結成した奇兵隊・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 坂本竜馬は「斡旋(あっせん)屋」で西郷隆盛は「こずるい政治屋」。2人が仮に100人ずついても、明治維新は永遠になし得なかった。作家の故池宮彰一郎さんの視点は大胆だ

 長州藩の高杉晋作こそ維新の原動力だった―。あまたの幕末の志士、維新の英傑さえ卑小な存在として描く。維新の成就を見ることなく散った高杉への評価と共感が作品からにじみ出る(『高杉晋作』)  

 高杉が身分にこだわらない志願兵で結成した奇兵隊。菅直人首相が同じような志を持って勇猛果敢に戦ってほしいと「奇兵隊内閣」をうたってから3日目。その内閣が早くもほころびを見せた

 国民新党の亀井静香代表がきのう金融・郵政改革担当相を辞任した。「速やかな成立を期す」ことで合意した郵政改革法案の今国会での成立が不可能になったためだ。ただ、連立政権からの離脱は避けた  

 「約束を実行してもらえなければ、担当閣僚を続けるわけにいかない」と語った亀井さん。それでも与党にとどまったのは、法案成立のチャンスを失う事態だけは何としても避けたかったのだろう

 支持率のV字回復を受け、参院選を急ぎたい菅政権が押し切った。奇兵隊並みの果断な行動と言えなくもない。誰が斡旋屋で誰がこずるい政治屋なのか。難しいが、しっかり見極める心構えを持ちたい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月12日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

食育月間、伝統食を作ったり、栄養を学んだり、農業を体験したり・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 伝統食を作ったり、栄養を学んだり、農業を体験したり。近ごろ食育の活動が盛んだ。この食育という言葉、意外にもルーツは110年ほど前、明治時代にあるという

 生みの親は食養学の祖とされる医師の石塚左玄という人。「体育智育才育は即(すなわ)ち食育なり」。食を学ぶことが心身をはぐくむ基本と説いた。同時代の小説家、村井弦斎も新聞小説『食道楽』でこの言葉を使い、発想の普及に貢献した  

 「これこそ日本初の食育小説」(『食育のススメ』)とノンフィクション作家の黒岩比佐子さんが紹介しているが、『食道楽』の趣向は面白い。物語の中でヒロインが和洋多彩な料理を作ってみせる

 登場する料理名は600種以上。作り方、食材や栄養のうんちく、食にまつわる情報を織り交ぜ、実用書としても読めるとあって当時の主婦らに大人気、単行本化されてベストセラーになったそうだ  

 6月は食育月間だ。食育基本法ができて5年、子ども向けの取り組みを中心に関心は高まってきた。だが、課題は若い世代の食生活、と先ごろ出された食育白書が指摘する

 調査によれば、20~30代男性と20代女性で1日3食を欠かす人が4割を超す。栄養に偏りがある人も多い。食は生きる基本。世代を問わず、自分の食を見つめることのできる環境を広げたい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月11日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

歴代大臣が相次いで失脚し〝鬼門〟多くの政策課題を抱える・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「多くの人によってチャンスが見過ごされるのは、それが作業服を着ていて、骨の折れる仕事のように見えるからだ」。発明王エジソンの言葉だ

 困難な仕事なのは間違いない。一歩間違えば前任者同様、各方面からの批判にさらされる。自公政権時代から歴代大臣が相次いで失脚し〝鬼門〟とも言われた。尻込みする人が出ても不思議ではない  

 新内閣発足で最後まで難航した農相人事。山田正彦副大臣の昇格で決着したものの、菅直人首相の意中の候補が固辞するなど二転三転した。山田さんも副大臣として口蹄(こうてい)疫対策に専念したいと一度は辞退したという

 口蹄疫への対応の遅れが指摘された前任者は閣外に去った。その前の3年間で4人が更迭や辞任に追い込まれている。虫の知らせか、「ここだけは来ない方が良かった」と就任会見で本音を漏らした人は、1週間で辞任した。確かに尋常ではない  

 待ったなしの口蹄疫問題はもちろん国内、国外とも多くの政策課題を抱える。就任までのいきさつはともかく、山田さんにはチャンスを存分に生かしてもらわなければ国民が困る

 「どんな困難な仕事でも、私はまず『はい、できます』と答える。それからやり方を考える」と言ったのは米国第26代大統領のセオドア・ルーズベルト。そんな政治家の気概を見たい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月10日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「官邸の一体性、内閣の一体性、党の全員参加」を掲げる菅内閣・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 変革を進めるための強いチームづくりに必要な要素は何か。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が講演で、その一つにコミュニケーションを挙げている

 とりわけ会社が危機的な状況にある時、大きな変化の波をくぐっている時には欠かせない。「お互いに対して正直に、お互いに対して完全に透明な形でコミュニケーションを取っていくことが重要だ」と  

 「コミュニケーションとは企業の透明性を高め、信頼を高める戦略である」。これもまた語録から(板垣英憲『カルロス・ゴーンの言葉』)。「会社」「企業」はいろいろな言葉に置き換えられる

 コミュニケーション不足で、透明性に欠け、信頼を失った前政権である。立て直すには肝に銘ずべき教訓となろう。「官邸の一体性、内閣の一体性、党の全員参加」を掲げる菅直人首相の下、新内閣が発足した  

 11人は再任だが、二重権力、政治とカネの不透明感を排し、清新を印象づける陣容だ。そっぽを向いた世論ももう一度、お手並み拝見と振り返った、そんなところだろうか

 人事に絡んで党内の不協和音も聞こえてくるが、ここは正直で透明なコミュニケーションを活発にして、国民目線の政治を実現する強いチームワークを築いてほしい。信頼回復に向けた国民とのコミュニケーションは言わずもがな。

 河北春秋 河北新報 2010年6月9日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

飽きが来た時になって、初めてそのものの味がはっきり分かる・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 陶芸家で美食家の北大路魯山人は「本当に物の味が分かるためには、あくまで食ってみなければならない」(『魯山人味道』)と言った。経験してこそ初めて物の本質が見えてくるらしい

 石川啄木の短歌集『一握の砂』が世に出て今年は100周年。収録551首が今も愛されるのは、読者の誰もが歌と同じ体験を一度はしたことがあるからかもしれない。切ない記憶が呼び起こされるのだろう  

 その読後感を、啄木ファンを自任する職場仲間は味に例えて「エスプレッソに角砂糖1個を入れた感じ」と表す。なるほど、確かに冒頭の<東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹(かに)とたはむる>はそんな味がする

 〝喫茶〓木〟にはこんなメニューもある。<いたく錆(さ)びしピストル出でぬ砂山の砂を指もて掘りてありしに>。舌にざらつくような、でも、乾いた印象を持つ作品  

 啄木は26歳で亡くなる4年前、筆名に牙を入れた。「啄」から「〓」へ。石川啄木記念館(盛岡市)の山本玲子学芸員は「小説を書き、社会性を意識し始めた時期。転機だったのでしょう」と解説する

 決して叙情だけではない作品群。そういえば魯山人は「飽きが来た時になって、初めてそのものの味がはっきり分かる」とも語った。詠み継がれて1世紀。握った砂はいまだ落ち続けている。〓は啄の豕にテンあり

 河北春秋 河北新報 2010年6月8日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

医師の負担軽減「スペシャル医療クラーク」医師は医療に専念する・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 大きな病院の診察室に入ると、大抵、お医者さんはパソコンとにらめっこをしている。患者の診療データを画面に呼び出し、確認しているようだ。電子カルテと呼ぶらしい

 略して電カル。これ、実は医師たちの評判はよくない。「時間がかかる。患者の顔ではなく画面を見てしまう。1時間に診られる患者が減った」。野笛涼さんというお医者さんが自著で嘆いている  

 地方の病院の医師不足がなお解消されない。カルテの入力、検査結果の記載、診断書や紹介状の作成、がん登録の情報入力。医師の事務作業が多すぎ、診られる患者が減ってしまうのも医師不足の一因。診療と事務の比率は、何と6対4だそうだ

 大量の事務作業を減らそうと、京都の病院が新しい仕組みを作った。「スペシャル医療クラーク」という専門職を創設、事務は代行してもらう。医師は医療に専念する  

 看護師資格を持つ人などを募り、病院が独自に3カ月の研修を行った後、医師の監督下で認められる事務を行う。医師たちも働きやすくなり、患者も待ち時間が短縮し、好評だという

 医師の負担軽減は以前から叫ばれてきたのに、国はもたもたしている。厚労省はこうした優れた仕組みを全国に広げてみてはどうだろう。医療行政にたぶん詳しい菅さんにここは期待しておきたい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月6日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

国民に声が届かなくなって「負の遺産」行く手に待つのもいばらの道・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「自分の失敗をかくさず、自分を飾ることなく、ありのままに生きることが出来なくて、なにが新しい人生のスタートか」。平岩弓枝さんの小説『幸福の船』の主人公は、自らをこう奮い立たせる

 過去から目を背け、心を偽って生きても前進はできない。そう気付き、勇気を振り絞って人生を切り開いていく。「負の遺産」を背負って船出することになった新政権に求められるのも、そんな気概か  

 きのう第94代首相に選出された民主党新代表の菅直人さん(63)。第一の課題に国民の信頼回復を掲げた。「政治とカネ」の問題に厳格な姿勢を示し、クリーンな政治を追求すると約束した

 わずか8カ月余りで退陣した鳩山由紀夫さんは、国民に声が届かなくなってしまったことを悔やんだ。政権交代時の期待は失望に変わっている。菅さんの行く手に待つのもいばらの道だろう  

 市民運動の出身ながら政治手法は現実的で柔軟とされる。すぐ怒ることから「イラ菅」のあだ名を持つが、近年は丸くなったとの声も聞かれる。宰相としての資質はどうか

 政界随一の論客と言われる。敵の弱みを見つける能力は抜群とか。自らの弱点も熟知していよう。本格政権樹立への強い思いを語った菅さん。ありのままの自分を生かしたかじ取りができるか、国民は注視している。

 河北春秋 河北新報 2010年6月5日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

手塩にかけた「宝の牛」感染が終息するまで、気が抜けない日々が続く・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 種牛を作り出すのは、根気と緻密(ちみつ)な計画が求められる作業だ。血統の良い父母を持つ多くの候補牛に対して人工繁殖と検証を繰り返し、慎重に選ぶ

 宮崎県のブランド牛を支えてきた種牛。育成まで7年ほどかかるのに加え、新たに認定されるのは年にわずか1~2頭という。手塩にかけた「宝の牛」を失うのは、まさに断腸の思いだろう  

 口蹄(こうてい)疫問題で殊に打撃が大きかったのは、種牛49頭のサツ処分に追い込まれたことだった。残ったのは特例で避難させたエース級の5頭だけ。もしこの5頭を守り切れなければ、宮崎の畜産は壊滅の危機に直面する

 宮崎で最初に陽性の牛が確認されてから6週間余り。処分の対象となった牛や豚は、ワクチンを接種した分を含めると30万頭近くに上る。今も感染が拡大しており、終息する気配はない  

 一方、先月中旬までに600頭以上がサツ処分された西部のえびの市では感染が収まり、順調ならば家畜の移動・搬出制限がきょう解除される。早期の対応が封じ込めの鍵を握ることを示した。将来への教訓になろう

 最大の課題は他地域への拡大防止だ。東北各地でも消毒薬の無料配布など水際対策が進む。精液の分散配置や動物と触れ合う催しを中止するなどの対策も強めている。感染が終息するまで、気が抜けない日々が続く。

 河北春秋 河北新報 2010年6月4日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

きょうの言葉があすはもう当てにならない 裏切り続けた言葉のうたかたの数々・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 亡きフォークシンガー高田渡さんの歌『値上げ』が、耳の奧で響く。「値上げはぜんぜん考えぬ」で始まる。「ぜんぜん」が「年内」となり「当分」となり

 さらに「今のところみおくりたい」となって、威勢のいい主張がどんどん心もとなくなる。「検討中」が、いつしか変節して「値上げもやむを得ぬ」。しまいには「値上げにふみきろう」で終わる  

 きょうの言葉があすはもう当てにならない。高田さんの歌は終始、鳩山由紀夫首相のBGMであったか。国民の信頼を裏切り続けた言葉のうたかたの数々。振り返ればその印象ばかりが強く、むなしさが募る

 鳩山首相が小沢一郎幹事長ともども辞任する意向を表明した。続投の意志が固いとみられた前日までの言葉は一夜明けて急転した。「国民の皆さんが聞く耳を持たなくなってしまったのは残念」。またしても人ごとのような言葉  

 原因の一つに普天間問題を挙げたが、軽々しく浮遊した言葉の罪をご当人はどれだけ自覚していただろう。どう繕おうとも、こぼした信頼の水は盆に返らない

 政権交代への期待がみるみるしぼんでいった8カ月余。かつて批判していた安倍、福田、麻生の旧3内閣よりも短命という皮肉な結末に、国民の失望は極まった。表紙を変えれば信が取り戻せるのか。迷走のつけは大きい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月3日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「誰も守ってくれない」家族まで追い詰める糾弾の目・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 日常が突然奪われる。兄がサツ人事件の容疑者として逮捕され、「サツ人犯の妹」となった15歳の少女は、保護役の刑事と共に逃避行を余儀なくされた

 付きまとうマスコミ、周囲の糾弾の目、こぞってプライバシーを暴き立てるネット掲示板。昨年公開された映画『誰も守ってくれない』は犯罪加害者の家族の苦しみを描き、取り巻く世間の醜さを見せつけた  

 どんなに苦しくても苦しいと言えない。嫌がらせに耐え、孤立し、息を潜めて生きる。そんな加害者家族の痛みを受け止め、支援する全国唯一のNPO「ワールドオープンハート」が仙台市で活動している

 精神看護の専門家や弁護士らでおととし結成、当事者同士が語り合う集いを開いたり相談に応じたりしてきた。この夏には週3回程度の相談電話を開設するという  

 代表の阿部恭子さんが言う。「転校や退職を迫られることがある。自サツに追い込まれることもある。加害者の更生のためには家族の安定が必要。家族への支援は犯罪や自サツの防止につながるのです」

 ささくれ立った空気が世間を覆う。怒りや憎しみ、悪意が噴き出しがちな昨今だ。人権がないがしろにされる出来事が多すぎる。罪は憎んでも、家族まで追い詰める世間でいいのか。社会の包容力のありようを自分のこととして問い直したい。

 河北春秋 河北新報 2010年6月2日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

バードウオッチング 耳を澄ますとさまざまな鳴き声が聞こえる・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 身近な野鳥というと、スズメとカラスしか思い浮かばない人が多いかもしれない。実は都市部にも結構いる。耳を澄ますとさまざまな鳴き声が聞こえる

 シジュウカラやハクセキレイ、ヒヨドリなどは公園に行けばすぐ見つかるだろう。「野鳥はどこにでもいる。大切なのは意識して見ること」。日本野鳥の会はホームページで野鳥に親しむこつを紹介する  

 きょうから6月。バードウオッチングにうってつけの季節になった。近所を散策しても、野山に出掛けてもよい。生き生きとした野鳥の姿を追う楽しさは格別。今なら巣立って間もない幼鳥も見られるかもしれない

 ある調査によると、見つけるきっかけは7割が鳴き声だという。耳で位置を探り、じっと目を凝らす。倍率7~8倍の双眼鏡があれば、警戒心が強い野鳥の色や形をじっくり観察できる  

 名前を調べられる手軽なガイドブックは多い。日本野鳥の会の携帯電話用のサイトもある。見つけた場所や体の大きさ、色などを入力すると、条件を満たす野鳥が幾つか表示されるので便利だ

 「全身そのもの、全動作そのものが、愛らしさと悦(よろこ)ばしさと可憐(かれん)さとの、生きた結晶である」。詩人で野鳥の会創立者の故中西悟堂さんは、幼鳥の魅力をこう書いた。そんな結晶との出合いを想像するだけで心が浮き立つ。

 河北春秋 河北新報 2010年6月1日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

体力がもう残っていない、担い手役をずっと背負わされ続けて・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 「さ」は田の神を意味するという。田植え初日に降りて来る。西の方では「さおり」と言った。終われば天に昇る(帰る)。「さのぼり」。東北でもなじみ深い「さなぶり」のことだ

 田植えはかつて手作業の重労働、集落総出で助け合った。無事に終わったことを神に感謝し労をねぎらう祝い事である。個々の農家で、集落で宴会があり、温泉に行く地域もあった  

 一面の水田が早苗の緑で薄化粧を施されて、陽光に輝く。そんな今の時季恒例だった行事も機械化・兼業化でほとんど廃れた。農村の習俗ばかりではない。田園から昭和一けた世代が退きつつある

 担い手役をずっと背負わされ続けて今や70代後半から80代前半。「昭和一けたが引退したら一体どうなるのか」。30年も前からそう言われながら、展望を示せず次代からそっぽを向かれた日本農業の危機が眼前にある  

 誰もが残したいと願う里山の原風景も例外ではない。有名な山形県山辺町大蕨の棚田。シンボルである14段の田のうち、ことし水がたたえられたのは最下段の1枚だけという。「年寄りばかりで、体力がもう残っていない」と

 農村は疲弊し、食を生む農地の荒廃が進む。われわれ一人一人が現実を直視し何とか展望を切り開かねば。ただ待っていても新たな担い手が降臨してはくれまい。

 河北春秋 河北新報 2010年5月31日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

生命の創造「人工生命」現実の世界でもほぼ手の届くところまで・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 生命をどう定義するかは一筋縄ではいかない問題だ。自己を複製して増えていけること、代謝の能力を持つことがポイントだとよくいわれる。他の要件を挙げる声も尽きない

 単細胞生物である細菌のゲノム(全遺伝情報)を人工的に合成して別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに、米国の研究チームが成功した。合成ゲノムは細胞内で活発に働き自己複製を行ったという  

 既存の細胞を入れ物として借りており、完全な人工生命とはいえないものの、ゲノムはゼロから化学的に合成した。コンピューター上で設計した細胞を、自在に作り出せる可能性を示したといえる

 これまではSFの世界のものだった生命の創造が、現実の世界でもほぼ手の届くところまで来た。構造が複雑な多細胞生物の細胞の合成も、20年ほどで実現すると予想する研究者もいる  

 今回の技術を応用すれば、例えば医薬品の製造や水質浄化などに役立つ新細菌を開発できる。一方で、生物兵器製造に利用されたり、自然界に流出して生態系に悪影響を及ぼしたりする危険性もはらむ

 人工生命を作ることが倫理的に許されるのかという疑問も出てくるだろう。宗教的にいえば、先端技術がついに神の領域にまで迫ってしまった。その是非の議論はもちろん、避けては通れない。

 河北春秋 河北新報 2010年5月30日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

決断までの迷走ぶり、自分の言葉を守れず、国民の視線は厳しさを増す・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 人生の極意を伝える荘子の言葉がある。「将(おく)らず、逆(むか)えず、応じて蔵せず」。つまり、過ぎたことにとらわれない、取り越し苦労をしない、事が起きたら直ちに対処しいつまでも煩わされない

 政治にも通じようか。初めの二つには、まれな資質を持っているように見える鳩山由紀夫首相。三つ目は持ち前の軽さをもってしても難しいようだ。決断までの迷走ぶり、指導力の乏しさをまた露呈した  

 きのう、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設に関する政府方針を示した鳩山さん。日米共同声明に名護市辺野古への移設を盛り込んだことに反発する消費者行政担当相の福島瑞穂さん(社民党党首)を罷免しての発表となった

 苦渋の決断だったのだろう。政府方針の内容、表現で、社民党への配慮を重ねたとみられるが、福島さんを説得できなかった。もっとも自らまいた種なのだから仕方ない  

 混迷の発端となった「最低でも県外」の大見えにも、「辺野古の海を埋め立てることは自然に対する冒(ぼう)とく」発言にも、明らかに反する。沖縄県民の怒りも一層増幅させた

 自分の言葉を守れず、沖縄の人々を傷つけたことを記者会見で謝罪したものの、政治責任を追及する声など、どこ吹く風。とはいえ、国民の視線は厳しさを増す。いかに楽観主義者であっても、煩いは消えまい。

 河北春秋 河北新報 2010年5月29日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

84歳。昭和の年号と歩を合わせて年を重ね・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 帽子を目深にかぶり、レインコートの背を丸めた老人が韓国・光州市の雑踏を歩く。ドキュメンタリー映画『日本心中』(2001年、大浦信行監督)の主人公は仙台市出身の美術評論家、針生一郎さんである

 戦中、青年期の政治思想的な葛藤(かっとう)を経て、戦後はシュールレアリスムに傾倒する。そんな土壌から紡ぎ上げ、日本の美術と社会の在り方を問う針生さんの思想が映像イメージと重ね合わされた作品だ  

 前衛美術評論の草分けとして鋭い言説で知られた針生さんが亡くなった。84歳。昭和の年号と歩を合わせて年を重ねた。旺盛な評論活動は文学、社会体制、思想などにも及んだ

 舌鋒(ぜっぽう)は晩年も衰えることがなかった。「業界の最長老といってよい針生一郎が、最もまっとうに筋を通し、新たに論戦を挑み、冒険的な試みを提示し得ている」と美術評論家の椹木野衣さんは評した  

 古里を離れて長かったが東北人の血を意識していた。「東北の造形には『用』と『聖』、つまり実用性と呪術(じゅじゅつ)的信仰や祭りの恍惚(こうこつ)感とが共存している」。そんな言葉も残している

 宮城県美術館では収集委員を務め、折に触れ講演に訪れた。昨夏も「前衛のみやぎ」展で講演した。「宮城は前衛の作家が少ないと言われるが、捨てたもんじゃない」。古里へのまなざしは温かだった。

 河北春秋 河北新報 2010年5月28日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

官僚機構は肥大化し、独立行政法人、公益法人などが数知れず・・・ 河北春秋 八葉蓮華

 旧ソ連でペレストロイカを推し進めたゴルバチョフ元大統領は米国訪問の際、「社会主義はもう行き詰まっているのではないか」と記者に聞かれ、「そんなことはない。日本ではうまくいっている」と答えたという

 日本は高度成長後も官僚主導で手厚い社会保障、公共政策を取り続けてきた。国民皆保険制度の下、低負担で誰もが医療を受けられる社会も、自由主義国の中で目を引く存在と評される  

 「格差社会」といわれる昨今は揺らいできているが、当時のゴルバチョフ氏が日本を一つの指標として見ていたのは想像に難くない

 ところが、いつしか官僚機構は肥大化し、福祉雇用政策や公共事業の実施機関として独立行政法人、公益法人などが数知れず誕生した。今まで、ぬくぬくと温存されてきたことまでは予想できなかったろう  

 おととい終了した政府の行政刷新会議による事業仕分け第2弾。姿を見せたのは官の陰の部分だった。何をしているのか名前を聞いたこともない団体、おびただしい数の省庁OBの天下り、競争のない一括発注、法人から法人へと移動する複雑な資金の流れ

 日本こそ、官僚支配国家の代表格と20年前に核心を見抜いていた改革の実践者に、仕分けを見せて感想を聞きたかった。「あのころのソ連よりひどい…」と言うかどうか。

 河北春秋 河北新報 2010年5月27日  創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »